ソフィア外語学院を運営してすでに30年もの月日が経過しました。これだけの長い期間にわたって、一部変更はしたものの、全く同じ教え方で教えて、全く同じ教材を使い続け、全く同じテストを実施してきているため、私は子どもの学力の推移が正確にわかっています。
もしも、途中で教材を全く変えたり、テストを変えたりしたら、変化はあまり正確には分からなかっただろうと思います。なぜなら、変化の原因が教材やテストにあるのではないかと思うからです。
ソフィア外語学院の教材やテストざっと変遷をたどるとこんな感じです。
こういう具合に、30年間ずっと同じ教育を行い、同じ方法で効果を測定し続けているわけです。しかも個別指導で、一人ずつ教えていますから、普通の大人数の授業では見えない部分まで、子どもの学力が正確に分かります。その結果、この30年間の子どもの学力の推移がよくわかりました。
子どもの学力は、年々、低下している
すでによく言われていることですが、子どもの学力は、年々、低下しています。向上したことは一度もありません。
私は、ソフィア外語学院を設立する前の1984年頃には気がついていましたが、1997年頃には、絶望的なレベルまで低下してしまっていました。世間の一般人の方が子どもの学力の低下に気がついたのは、私がブログを始めた時よりも後の事で、大体2010年ごろになると思います。
子どもの読書量は増えている
最初の頃は、学力の低下を読書量の低下が原因だと思っていました。確かに、1980年代後半から1990年代前半にかけて、子どもの読書量はどんどん減って、1991年頃には本を読んでいる高校生がほとんどいなくなりました。だから、当時は、この読書量の低下が子どもの学力の低下だと思っていました。
しかし、その後、読書量は増えた様で、本を読んでいる高校生の数が増えていきました。しかし、学力は相変わらず低下の一途をたどったのです。しかも、国語力も低下していきました。本を読んでるのに、国語力が低下するというのは変な話なのですが、事実だから仕方ありません。
子どもの学力低下の原因に関する諸説
子どもの学力の低下の原因にはいろいろな説があります。一番古い説としては、受験勉強が原因とする説です。だから、国は入試改革に必死になっているわけです。子どもには、一所懸命にまともな勉強をしてもらい、何としても受験勉強をさせないためです。
もう一つの説は、読書量の低下です。これは子どもの読書量の低下が指摘され始めた1980年代から唱えられる様になった説です。
どの説も一理あり、実際、子どもの学力の低下に一役買っているのは間違いないでしょう。どう考えても、受験勉強ばかりやっている子どもの学力が高い訳がありませんし、本を読まない子どもが賢くなる訳がありません。
しかし、読書量は少しは回復しました。受験勉強は相変わらずで、しかも、質は低下しています。つまり、より受験勉強っぽくなっています。だから、受験勉強が最大の原因とも推測できますが、そうではないのです。
では、どうして子どもの学力が低下したのでしょうか?
学院長に習うと学力が大幅に向上する
何か自己宣伝しているみたいでいやなのですが、私に習った生徒は大抵学力が大幅に向上します。きっとソフィア外語学院の学院長はすごい教え方をするからだろうと思うでしょうが、そうではありません。
ソフィア外語学院の授業内容は、ほぼ完全にマニュアル化されていますので、実際、誰が教えても同じです。そもそも、私ほどマニュアル通りに教える講師はいません。マニュアルを書いた本人である私は完全にマニュアル講師です。
それに、他の講師も、マニュアルとは違う内容を自分で考えて、英語で説明し出すとは考えがたいです。となると、ソフィア外語学院では、誰が教えても、教える中身はほぼ同じと考えてよいでしょう。
どうやら違いは、私の下らないおしゃべりにあるらしいです(笑)。まあ、私は政治や経済から文化的な内容まで様々な話をする教師なので、どうやらそれが原因で子どもの学力が急激に上がるらしいです。
実際、気が合わなくて、そう言う話が欠如してしまった生徒の場合、それほど学力の向上はありません。もちろん、英語力は向上します。ここで言っているのは、頭の良さとか教養のレベルの問題です。
子どもの学力低下の原因は教師の質の低下
そう言うわけで、子どもの学力が低下した最大の原因には、教師の質の低下である可能性が高いです。
あるいは、教師の質は低下していないが、授業で子どもに雑談をする機会がなくなったのが原因かもしれません。しかし、私が聞く限り、そうでもないような感じです。
実際、すでに自分の専門の教科がまともに教えられない教師が非常に多いと学校の先生方から聞いています。また、塾の講師についても、「塾の講師は学力が全く欠落している」とすら言う塾経営者もいます。
昨年の春、ソフィア外語学院に入学した中一の生徒が、先日、・・・
名進研に以前通っていたけど、先生の説明の内容が変だと思ったので、授業中に先生の言っていることを友達とネットで検索して調べたら、ネットに書かれている内容をそのまま読み上げているだけだったので、やめた。
・・・などということを言っていました。
最近の塾の講師は、Wikipediaなどを見て、そこに書いていることをしゃべっているだけということは、知り合いの塾の講師からも聞いていましたが、生徒にまでばれてはだめですね。
調べるだけでもましな方かもしれませんが、情けないのには変わりありません。恐らく、これは学校の教師でも同じでしょう。たぶん、学校の教師もネットに書かれていることをそのまま読み上げているだけかもしれません。
読み上げたらいけないとは言いません。しかし、自分の言葉になっていなければ、あまりよく伝わらないし、面白くもないでしょう。それでは効果が下がります。
しかし、それだけではありません。ネットに書いてあることが正しいことならいいのですが、Wikipediaなんてでたらめだらけですから、当てになりません。Wikipediaというのは、ただの匿名の掲示板に過ぎません。デザインの仕方で掲示板に見えないだけのことです。
こういう状況では、子どもの学力がどんどん下がっても仕方がありません。たださらに問題なのは、こういう学力の低い子どもが、将来、教師になり、次の世代の子どもの学力をさらに下げてしまうことなのです。その悪循環がすでに始まっています。
社会に広がる低学力化した大人たち
これを教師だけの問題だと勘違いしてはだめです。例えば、司法試験は年々問題が易しくなっているそうですが、それにもかかわらず、受験者の得点も年々下がっており、合格点が低下しつつあるそうです。
教育の現場にいる私から見ると、学力の低い子どもたちが大人になって、司法試験を受けているから、得点が落ちているのだということがよく分かります。たぶん、低学力が社会全体に広がっていると言うのが現状だろうと私は分析しています。
日本のかつての名門企業が次々に消えつつある今日ですが、それを起こしている根本原因は低学力化した大人たちなのではないかと思います。これから20年後、30年後に日本はいったいどうなっているのか心配です。